鬱な現実~うつしぐさ~

うつ病者及びスキゾイド症者の語るしくじりだらけの人生

甘えの罠

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良かったけれど悪かったこと。

そんな相矛盾することが世の中には結構あり。

政治家の賄賂なんかがその典型。

本人やその家族にとって便宜を図ってもらえるようになるので、彼らにとってみれば良いこと。

けれど、社会秩序や道徳的観点からするとそれはただのズル。

倫理的に悪となる。

 

そんな権力を握ることなんてまずないから、自分には一生いわゆる「便宜」と関わりがないだろうなと思っていた。

でも、思い返してみると、あれはもしや、といった心当たりがある。

 

 

うちの学校は小学校から大学まである総合学校で、病院もそのグループ内に取り込んでいた。

小学四年生くらいの時、消石灰に水を入れると発熱するということを『ミスター味っ子』という漫画で知り、それを本当にやってみようとのことになった。

駅弁で、箱に付いた紐を引くと温かくなるギミックが付いているのはその仕組みを利用したものだというから。

それである日の昼休み、プリンの空き容器に校庭にラインを引く消石灰を入れ蛇口まで行こうとした時、間が悪く誰かが蹴ったサッカーボールが手に当たってしまった。

そのせいで消石灰が辺りに舞い散り、こちらの顔面にもろに降りかかって来た。

それは目にも入り、確かに焼けるような痛みを発した。

目が見えなくなりながらも、とにかく洗わなければまずいと、水飲み場まで走った。

一通り洗い流したけれど、目の痛みは消えず。

そこへ同じ遊びをしていた同級生が保健の先生を連れて来てくれ、病院へ行くことに。

 

内科から外科、耳鼻科も小児科もある総合病院で、患者が多く、自分が行った眼科も待合室代わりの廊下のベンチには何人もが並んでいた。

結構待つのかも、と思ったのだけれどそうはならなかった。

こちらの制服を見た看護師が、受付の奥の貫禄があるもう一人の看護師に何か言うと、すぐに自分の名前が呼ばれた。

なぜ順番を飛ばしてそんなことになるのかわからなかったので、保健の先生の方を見ると、「いいから行きなさい」と送り出された。

訳が分からないまま診察を受け、そこでもまた目を洗い流され、「少しの間痛みが残るかもしれないけれど、問題ないよ」と先生からの言葉と眼帯を貰い、その日は残りの授業には出ないでいいと家に帰された。

 

目のことよりも、自分には廊下に並んでいた人たちの順番を無視したことが気に掛かった。

なんで自分だけ特別扱いされたのだろうと。

 

どうやら、うちの学校の生徒が病気や怪我をした時は、いの一番に手当てするよう病院側に申し渡しがされていたよう。

それこそ他の患者の順番をすっ飛ばして。

総合学校のグループ下にある病院だったから為せる業。

 

待たずに済んだことはありがたかった。

でも、それに慣れちゃいけないんだと本能的に警戒感を持った。

そんなことに慣れたら、ダメな人間になってしまうと。

 

そして、ニュースや報道でも大体問題を起こすのは、そうやって一般常識や一般感覚の欠如した甘やかされた人間だと知り、危ないところだったと思い知らされた。

特別待遇が当たり前だと思う人間は、極めて危険な価値観を持っているとの証左。

権力を持ったとしても、そこら辺のバランス感覚は絶対に忘れずに持っていたいと思った次第。

倫理的に悪い上、まず他者から恨まれるし。

人から恨まれて、自分だけ良い思いをする人生というのも哀しいものだから。