おばちゃん幻想の砕ける時
対人恐怖症の対症療法としておばちゃんが有効かもしれない、前回の記事の概要です。
おばちゃんの包容力に幻想を抱いている自分の姿を客観的に描いて見せました。
では今回何を書くか。
その幻想が本当に幻想に過ぎなかったことを記しておきたいのです。
同じ轍を踏む方が少なくなるように祈りつつ。
便秘がひどかったせいでニキビや吹出物が絶えずあり、肌が汚かった十代から二十代前半。
便秘に効くという漢方薬で改善はしたものの、それだけでは足りません。
少しでも食事バランスや生活リズムが狂うと頬や鼻や頭皮にポツポツと赤い斑点が浮かびます。
これをどうしたものか。
迷った末にネットで情報を集めて有効そうに思えたのがチョコラBB。
効くかどうかというと、きっと効いている。
吹出物が出にくくなった気がします。
そのため、数年にわたって愛用しているのですが、初めて買ってから五年か六年か経った頃、これはもしや女性が主に用いるものでは?という疑問が湧いてきました。
鈍いです。
それに気付くまでにそんな長い時間掛かるなんて。
多少の恥ずかしさはありましたが、飲まなければ吹出物は必ず出てきます。
背に腹は代えられない。
だから恥を忍んで買い続けていました。
いや、います。今も服用していますから。
そこで問題が引き起こされました。
対人恐怖症ゆえにドラッグストアでもおばちゃん店員を選んでレジに行っていたのですが、その日嫌な予感がしたのです。
レジにいるのはおばちゃん。
それはもう、見紛うことなくおばちゃんでした。
が、顔つきがどことなく剣呑です。
果たして、自分がチョコラBBを持っていくと、彼女はレジ内の袋やクーポンの整理をしていて客の存在に気付いていないように振る舞っています。
本当に気付いていないのか、敢えて無視しようとしたのか、それは判断が付きません。
ですが、嫌な予感が満ち満ちたのは感じました。
おばちゃんはこちらが籠の中に置いたチョコラBBを見ると、「お客様が?!」と大袈裟に驚いて言うのです。
ムカッとしたのですが、悲惨な経験には慣れています。
「ええ」と返事をしました。さすがに不愛想になってしまいましたが。
「あら、すいません」
謝るおばちゃんですが、全く、まったく心がこもっていないのが丸わかりです。
そういう声、仕草が出来る人っているんです。
平気で人を傷付けるような人の特技みたいなものです。
対人恐怖症だから、人当たりが良さそうなおばちゃんを選んだのに、外れもある。
人間なんだから、一人一人違っているのは当たり前でしょう。
でも、それまで持っていておばちゃんには包容力があるという幻想が消え去ったのも事実。
おばちゃんなら誰でも安全ではないというのを学びました。
人はいくつになっても経験しないと学べないものです。
人に対して過度の幻想を持つことは危険だと。
それにしても、チョコラBBって男性が買うのはそんなに意外なのか……?