鬱な現実~うつしぐさ~

うつ病者及びスキゾイド症者の語るしくじりだらけの人生

2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

軌跡~ある教員サークルの興亡~30

結局その日は六時半間で粘っても、白山さんは校舎から出て来ませんでした。 いくら目を皿のようにしていても、数秒間視点が外れることや、バスやトラックの往来で視界が塞がれることがあります。 その間に白山さんがこちらの監視の目をすり抜け、夕方の町の…

軌跡~ある教員サークルの興亡~29

待ち伏せと言っても、何時から何時まで待てばいいかわかりません。 浪人時代、自分が予備校に着く午前八時半に、白山さんはカウンター内の机で仕事をしていましたし、午後八時半まで開いている自習室から帰る時にも結構な頻度で彼女がいるのを見た気がします…

軌跡~ある教員サークルの興亡~28

ストーカー脳はあると思います。 好きな人の気持ちや自分を取り巻く状況を、自身の都合のいいように改変、解釈してしまう認知のゆがみです。 自分もその思考に、ズボリと落ち込んでしまっていました。 大学四年に上がった年の四月上旬、予備校の前にチェーン…

軌跡~ある教員サークルの興亡~27

思えば、白山さんには迷惑をかけたものです。 それも、多大なる迷惑を。 サークル活動のことを書くつもりが、チューターへの片思いについての物語となってきているのは、カトリック教会で自らの罪を述べ、赦しを得ようとする告解のつもりかもしれません。 伝…

軌跡~ある教員サークルの興亡~26

絶対に断られるシチュエーションで敢えて誘う。 そこには自身のどす黒い思いが、無意識的に働いていました。 一年に一回だけ会っていて、仲が進展するべくもなく。 それでいながらもどかしさは感じていました。 片思いながら次の段階に進めたいと。 片思いで…

軌跡~ある教員サークルの興亡~25

どうやら白山さんは急ぎで仕上げなければいけない仕事があるため、カウンターにいる自分の方へすぐに来られないように見えます。 それか、そう見せたかです。 少なくとも、自分の来訪を手放しで喜んでいるとは思えません。 やっとやって来た白山さんはマスク…

軌跡~ある教員サークルの興亡~24

新明解国語辞典(三省堂)の「ストーカー」の項にはこうあります。 「相手はいやがっているのに、後を追ったり、待ち伏せをしたりして、しつこくつきまとう偏執狂的な人」と。 漫画なら額に汗が伝う描写が挿入される場面です。 後を追ったり……した。 待ち伏…

ドラクエの宿屋とは違う

ドラクエで冒険をしていると、町から町に移るまでにモンスターにズタボロにされて、薬草やホイミで誤魔化しつつ、「早く宿屋に」といった気持になります。 宿屋に泊まればHPもMPも全回復するからです。 眠れば体力回復。 これは現実でもそう。 だと思ってい…

軌跡~ある教員サークルの興亡~23

「何かあれば」と白山さんが言った部分を綺麗に頭から忘却せしめ、後半の「遊びに来てください」との言葉に忠実に従った結果が、湯島天神のお守り持参での予備校行きでした。 そこはプロのチューターです。 内心では、「本当に来た……」とは思ったかもしれま…

軌跡~ある教員サークルの興亡~22

集合写真を撮影することになり、自分は何気なさを装いつつ、白山さんの近くで、あわよくば隣で写ろうと彼女に近付きました。 以前書いたように、チューターの仕事は中学高校でいう担任教師に相当します。 そういった役割を持つ人ならば記念撮影の際、一人の…