鬱な現実~うつしぐさ~

うつ病者及びスキゾイド症者の語るしくじりだらけの人生

2018-12-01から1ヶ月間の記事一覧

ターゲット・前編

ある日、男性の元に手紙が届く。 便箋を開いてみると、翌日バスに乗った時に運転手に話しかけ、駅への到着時間をほんの少し遅らせて欲しい、と記してあった。 送り先の住所は出鱈目で、筆跡に特徴はなく、そんなことを頼んでくる相手を思い付けなかった。 こ…

命の線を信じること

生命線が、ぶった切れている。 水や食料などのライフラインではなく、手相のことです。 左手の「て」を鏡写しにした形の、二画目、縦の線を生命線というのですが、それが途中で切れているのです。 そしてその途切れた場所から五ミリほど離れたところから、続…

8センチのジェネレーションギャップ

どういう意識機能の働きなのか、うつ病だと診断され、療養を始めた時に一番熱心に行ったことは持ち物を片付ける事でした。 整理整頓はもとより、不要に思えるものを徹底的に捨てたり売ったり手放したりしました。 本も、漫画を含めれば二千冊くらいは売った…

心を作る

スキゾイドの私にとって、心は自然にあるものではなく、学んで作り上げるものだった。 けれど、そうして組み上げたものがスキゾイドではない普通の人の心と同じように作用するかと言えば、そうとは言い切れない。 というのも、学んで作るその「こころ」的な…

あだ名はテロ

人のあだ名は苗字や名前に「ちゃん」を付けたり、一部を略したりといったオーソドックスなものや、元々の名前から派生した連想ゲームのようなもの、あるいはその人の言動によるものなどバラエティに富んでいます。 連想ゲームの種類として、例えば「佐藤」と…

うつ病の原因と心の充電池

うつ病の原因ははっきりしている。 前職の老人ホームにおける人間関係の挫折だ。 そこに至るまでに、性格の弱さや自意識の欠如などの精神的背景は蓄積されていたと思う。 ただ、そのような爆弾を抱えながらも図書館や博物館で働けていたことを考え合わせると…

正直村の落とし物箱

日当たりのいい階段ホールの最上階にその箱は置かれていた。 いつからか、その中身を見るのが私の習慣になっていた。 箱といっても、段ボール箱や貨物用の木箱とは形が違っていて、それにはテーブルと同じような四つの足が付いていた。 大きさはゲームセンタ…

押し入れに潜む老婆

どうして精神が病み、今の立ち行かない状況に陥ったのかを探求していると、自分にとって一番遠い場所にある記憶は何かとの問いに辿り着く。 見付けた答えは、現実であり、夢であり、それを記憶と呼んでいいものか判然としない。 けれど、私の思い出せる範囲…