鬱な現実~うつしぐさ~

うつ病者及びスキゾイド症者の語るしくじりだらけの人生

記憶の断片

上履きを盗まれて

// 調子が悪い時には良いことを考え、気持ちを上向きにさせるといい。 というのは普通の人の考えで、鬱傾向にある人にとっては良いことを考えることに凄まじい労力を要するわけで。 端的に言えば、無理、だと思う。 少なくとも自分にとっては。 それならば何…

8センチのジェネレーションギャップ

どういう意識機能の働きなのか、うつ病だと診断され、療養を始めた時に一番熱心に行ったことは持ち物を片付ける事でした。 整理整頓はもとより、不要に思えるものを徹底的に捨てたり売ったり手放したりしました。 本も、漫画を含めれば二千冊くらいは売った…

正直村の落とし物箱

日当たりのいい階段ホールの最上階にその箱は置かれていた。 いつからか、その中身を見るのが私の習慣になっていた。 箱といっても、段ボール箱や貨物用の木箱とは形が違っていて、それにはテーブルと同じような四つの足が付いていた。 大きさはゲームセンタ…

押し入れに潜む老婆

どうして精神が病み、今の立ち行かない状況に陥ったのかを探求していると、自分にとって一番遠い場所にある記憶は何かとの問いに辿り着く。 見付けた答えは、現実であり、夢であり、それを記憶と呼んでいいものか判然としない。 けれど、私の思い出せる範囲…

体罰 後編

その翌日の昼休み、梅本君と私は校庭の端っこで、例のボールを使って懲りずにPKごっこをしていました。 今度はコンクリートの壁がゴールです。 これならば、小倉教師に見付かっても殴られないはず。 ただ、前述した通り使っているボールは非常に柔らかく、風…

体罰 前編

昨今、教師による体罰が大きな問題になることがあります。 いや、散々問題になったので、近頃では沈静化しているところでしょうか。 むしろ教師が手を出していないのに、生徒から手を出したと言われ、ネットで拡散されて大問題になるのを恐れているくらいか…

風と停電と野次馬と

ふと思い出す過去のこと。 大学三年の時、構内全体が一時的に停電になったことがあります。 風がものすごく強い日で、電力会社管内で電線が切れたか、何かが引っ掛かったのか、あるいは電柱が倒れたかしたのでしょう。 私はいつもの通り一人で研究棟の自習室…

腕章への憧れ

着飾る事の意義は、おぼろげながら理解しています。 馬子にも衣装と言いますし、本人が野暮ったくても身に着ける物に品があれば全体として小綺麗な感じに仕上がることもあるでしょうから。 それを念頭に置きつつも、私は高級な物、自身を飾る物を身に着けな…

籐のシート

決まりきった日常を過ごしていると、不意にとりとめもない記憶が脳裏をかすめる。 その事柄、場面、当時の私が感じたこと、それらが後の自分に何らかの影響を及ぼしたからこそ蘇って来たというわけでもなく。 何にも結び付いていない一つのシーンとして。 眠…