鬱な現実~うつしぐさ~

うつ病者及びスキゾイド症者の語るしくじりだらけの人生

米という漢字は八十八に

このところ連続で取り上げてきた本屋のアルバイト先にいたTさん。

しつこいと思われるかもしれませんが、今回も彼に関わるお話。

社交性があり、誰とでも仲良くなれるという特質を持った彼です。

 

誰とでも仲良くなれるということは、四方八方へ気を遣っていなければいけません。

ですが、この世に人は多く、各人が各種の性格を持っています。

だから、絶対に誰でにでも好かれるという人はいないのではないでしょうか。

 

話の雲行きが悪くなってきました。

というか、悪くしていきます。

心が無い自分です。

 

良い、悪いの価値判断がいまいちできていません。

だから書いていいことと悪いことの区別が付いていないような気がします。

これまでの記事を書いてきて、書くべきではなかったと思うこともありますが、今のところ削除するまではしていません。

 

そしてTさんです。

周りに気を遣っていても、彼自身に欠点があったりします。

おそらくさほど重大でない欠点。

 

彼とはよく食事に行ったと書きました

主にファミレスへ行っていました。

自分の人生で一番外食をよくしていた時代です。

 

食事に興味のない自分がよくそんなことをしたな、と思い返されます。

ですが、恐らく食事よりはTさんやバイト仲間との時間を共有したかったのだと思います。

普通っぽく生きていけるかも、そんな風に感じていた。

 

けれど、そううまくは行きません。

自分の歪んだ価値観がここでも発揮されてしまったから。

Tさん、ご飯を残すんです。

 

食事を残すというのがまずいけません。

自分で頼んだのだから、責任を持って全部食べるべき。

そんな倫理観が身に付いています。

 

でも、それは実は二番目の問題。

注文した料理の味が悪かったり、予想より多かったりすることはあるので、理解できないでもありません。

自分がTさんとは合わないな、と思ったのは別のことです。

 

一番は、彼がご飯粒を残すことでした。

茶碗に盛ったご飯を最後の一粒まで余さず食べるのが自分の信念。

いや、信念という強い思いはありません。常識だと思っていたので。

 

だって、小さな時から「米という漢字は分解すると八十八になる。お百姓さんが八十八の手間をかけて作るからそうなっているんだ」と親や学校で覚え込ませられてきました。

本当に八十八の手間を掛けているのか、後に気になったりもします。

 

調べると、コメが実るまでに八十八日かかるから、という説。

米という漢字は象形文字から来ているという説。

それらを複合した説、何種類かあるようです。

 

それらの殆どに共通しているのは、お米を作るのは大変、ということです。

それを残すとは。

しかも、Tさんはあり得ないことをしたのです。自分の価値観からすると。

 

ある日焼肉に行った時、当然ご飯も食べます。

まだ、お肉&お酒の組み合わせを知らないヤングな時です。

ヤング……死語っぽい。通じるだろうけれど。

 

その時Tさんはこちらの食べ終えた茶碗を見て、「わ~綺麗に食べますね。そういう食べ方憧れます」と言ったのです。

言ったのだから、するだろう。

普通そう思うかと。

 

けれど彼はそうしませんでした。

茶碗にご飯粒を点々と残したまま、「ごちそうさま」としたのです。

内心「え……」とドン引きです。

 

それが出来ないこと、難しいことなら自分だって彼の価値観を疑ったりしなかったでしょう。

でも、お箸をちょこちょこっと動かすだけで出来ることを、「憧れます」と言いながらしない。

珍獣を見る思いでした。言い過ぎですし、後に自分が珍獣になるとは知らない前世時代の思い出です。

 

そんな些細なことで、Tさんはちょっとなぁ、と思い始めたのを覚えています。

もちろん彼だってこちらのことをおかしいと思っていたでしょう。

その例示ならいくらでもできるくらい。

 

例えば自分はラーメンがまともに食べられません

よく女性が長い髪を汚さないためか、レンゲに麺やスープ、具までも載せたミニラーメンを作って口に運ぶことがあると聞きます。

さすがにそこまではしませんが、自分は麺を啜れないので、レンゲにある程度麺をまとめて載せて、それを口に運ぶことをしています。

 

それが面倒ですし、そうだ、Tさんのせいかも。

自分がラーメンを決定的に避けるようになったのは。

彼と上司と一緒にラーメン屋に行った時に遠因があります。

 

その日、同じように苦労しながらラーメンを食べていると、Tさんが言いました。

「ラーメンも上品に食べるんですね。さすがです」と。

その時は素直に喜んでいましたが、あれ、馬鹿にしてたのかも。

 

それを聞いて、上司が「ラーメン啜れないってのも逆に格好悪いぜ」というようなことを言ったのです。

薄々気付いていましたが、やっぱりか、と。

それを明るみに出したTさんを恨みました。今となってはどうでもいいことですが。

 

人の飲食の仕方は、人間関係においても大事なのかもしれない。

そう思った次第。

Tさんから見れば、自分も相当おかしな人物だったのでしょう。