鬱な現実~うつしぐさ~

うつ病者及びスキゾイド症者の語るしくじりだらけの人生

軌跡~ある教員サークルの興亡~64

 

「とりあえず友達として付き合ってみて、相性が良いと感じたら恋人にって考えたらどう?」

畑野さんの提案に、自分も米野さんも気乗りしない調子で、「はぁ……」と返事しました。

自分がもっと空気を読める性格であれば、「そうですね」と言って、一時ながらその場を盛り上げられた気もします。

けれど、それも所詮は追想の中の仮定。

本当にテーブルを明るく出来たかは不明です。

第一、虚構の盛り上がりは自分が苦手とするものです。

雰囲気で流されてしまうような言動は取りたくないのが信条。

あれ?あの時この人こういってたのに、と思わせられることが多かったですし、そのような場面場面で意見が違う人間にはなりたくないと決めているからです。

だからこそ、人間関係が滑らかにならず、付き合う時間が長いほどに軋みが生じてしまうのだとわかっていても。

 

 

その日のドライブに、こういう裏があったと知って、大学生っぽいなと思う反面、戸惑いもありました。

異性との付き合いを、周りの人たちによって促されることにたじろいでしまったのです。

白山さんをずっと好きでいるように、自分が好きな人は自分だけで選びたいとの気持ちが強いからです。

信念があると言えば聞こえがいいですが、自分の場合、多分単なるわがままでしょう。

頭が困惑していてもなお美味しいロールケーキを平らげたところで、店を引き上げ、帰途につくことになりました。

 

思えば、この頃から色々なことが変わり始めたように思えます。

人生における転機、ターニングポイントのような時点がサークルにもあるのだとしたら、この日のドライブがそうだったのでしょう。

教員サークルの興亡、大して勢いが盛んになることもなく発足し、持続してきたのが、亡びへと転じたのです。