鬱な現実~うつしぐさ~

うつ病者及びスキゾイド症者の語るしくじりだらけの人生

軌跡~ある教員サークルの興亡~68

 

その時に初めて片瀬さんの顔をしっかり見たのですが、結構可愛い。

それまでは特に意識したことが無かったので、分厚いレンズの眼鏡を掛けた女の子、というイメージしかありませんでした。

前髪も長く、表情が見えにくかったせいもあります。

普通サークルのメンバーであれば、それぞれの顔や人柄が気になるものでしょう。

でも、自分は何らかの個人的な関わりが無ければ、人に興味を持てません。

ここら辺はやはりスキゾイドゆえだったのだと、今は考えられます。

ですが、当時はスキゾイドという言葉も概念も自覚も自分の頭にはなかったので、自身の性格について何かしらの欠陥があるのでは、と悩んだ記憶があります。

 

 

それから片瀬さんが後ろを向いて店員を呼び、新しくフライドポテトを注文しました。

こちらからは、彼女の体の横側面が見える形です。

大きい……。

人に興味は持たないけれど、本能が異性に興味を持たせます。

意外と、と言うと失礼ですが、片瀬さんの胸が大きかった。

瓶底眼鏡の隠れ巨乳。

ブコメ漫画でよくある、真面目な子のスタイルがよくてドキドキする、あのシチュエーションです。

現代の言葉で言うと、ギャップ萌えでしょうか。

黒髪ボブで、大和撫子の染谷さんほどではないにしろ色白で、整った顔立ちでありながらグラマラス。

土屋君を少しばかり羨みました。

当時はまだ俗物的な性癖が残っていたのか。

今は女性の胸の大きさになんて、それほどこだわりがありません。

むしろ小さければ小さいほどいい。

……と考えているのは、やはりこだわっているのか……。

ともあれそれは、まったく別の話です。

 

「河合は、畑野さんに気に入られてるみたいだな」

ポテトが運ばれて、それぞれが手を伸ばして一個か二個食べた後で、土屋君が言いました。

「気に入られている?気を遣われているとは思うけど。面倒を見てもらってるって。米野さんとくっつけようとされたんだよ」

そう答え、ドライブのことを話しました。