鬱な現実~うつしぐさ~

うつ病者及びスキゾイド症者の語るしくじりだらけの人生

軌跡~ある教員サークルの興亡~72

 

旅の足は車です。

本須賀さんのセダンと、桃野さんの運転するレンタカーのワゴン車で妙高まで行くことになりました。

ここで問題になるのがメンバーの振り分けです。

ところが何の因果か、いや、前もって裏で計画していたのか、本須賀さんの車には前回のドライブと同じ組み合わせで乗ることになっていました。

つまり本須賀さん、畑野さんカップルと、米野さん、自分の一年生コンビです。

 

 

ドライブの時は帰り際まで、なぜこのメンバーなのかがわかっていませんでしたが、今回はもう手の内が明かされています。

更に、土屋君や片瀬さんにより、本須賀、畑野両人の裏の目的についての疑惑も知らされています。

嫉妬し合って気持ちを高める、とのアレです。

十分気を付けるよう、自分に言い聞かせました。

 

車内では、自分や米野さんの好きなタイプを質問されたり、ちょっとしたことでもやたら持ち上げられたりします。

褒めあげて、いい女、いい男であることを印象付けようとの思惑が見え透いています。

パーキングエリアの休憩でも、本須賀さんと畑野さんが外でもたもたするふりをして、車内で米野さんと長時間二人きりにされたりもしました。

裏が見えていると、却って思い通りになりたくないと思ってしまいます。

特に自分なんて、わがままの極致でしたから、促されればされるほど逆の方へ行きたくなります。

だから白山さんへの片思いの気持ちを、より頑なにした気もします。

訊かれてもいないのに、白山さんがどれだけ素晴らしい女性かを語ったり、幼い抵抗をしたものです。

 

一方、桃野さんのワゴン車には二年の国文科女子、本条さんと、土屋君、片瀬さんが乗っています。

合同主催のS大学の学生とは現地で集合となっていました。

二年男子の久慈さんや築地さん、一年の軍事オタク保科君は欠席です。

三人とも我が道を行く人なので、合宿といった共同作業が伴う行動に参加しないのももっともだと肯けます。

 

妙高に何があるのか、そもそも何県のどこにあるのか、そして、宿泊までして何をするのかと、疑問は多々あります。

今でも、教員を目指すサークルで、泊まり込みの勉強会を開いた意味が理解できていません。

つまるところ、泊りがけで遊びたかったというのが、企画者である先輩方の本意だったのでしょう。