鬱な現実~うつしぐさ~

うつ病者及びスキゾイド症者の語るしくじりだらけの人生

貸せない本

        f:id:Utsushikusa:20190406154202j:plain

モテない男性のバイブル的ドラマ、『101回目のプロポーズ』。

今見返してもかなり楽しめる。

年を経た分、主人公に感情移入できるし。

 

そこでふと思い出した事実。

あまりに好き過ぎて、このドラマのノベライズ本も持っていたこと。

今見ると、カバーも取れて表紙には得体のしれない染みも付き、中のページに折れている箇所もいくつか。

司書資格を持つほどに本が好きなので、自分が書籍をぞんざいに扱うことはない。

それなのに、この本がそういった状態なのは訳があり。

学生時代、友人の一人に貸したのだ。

 

 

その友人S君は大人しそうで、本を大切に読むような人だった。

けれど、いつまで経っても本が返却されない。

二週間が過ぎ、三週間が経とうとしている時に、さすがに不安になって「本、読んだ?」と訊くと、「うん」との返事。

「じゃあ、返して欲しいんだけど」とのこちらの言葉に、彼は気まずそうに目を逸らした。

そして、「K君が貸してって言うから、貸しちゃった」とポツリと告白。

K君は押しが強い人だから、嫌とは拒めなかったのだと思う。

仕方ないと、K君に「あの本読んだ?」と訊きに行くと、「ああ、うん。今はTが持ってるんじゃないかな」と思いがけない答え。

又貸しの又貸し。

そこでT君に「101回目のプロポーズの本、持ってる?」と訊くと、「あれ、お前の本なの?Kのだと思ってた。今読んでるよ」と返ってきたので、「じゃあ、読み終わったら返してね」とお願いした。

何で自分がお願いしなきゃいけないのかとも思ったけれど。

 

でも、結局返ってきたのはT君からじゃなかったし、はじめのS君に貸してから8か月以上経ってからだった。

戻ってきた本の状態は冒頭にある通り。

本を大切にする自分としては泣きたい状況。

でも、誰が本を汚して、誰がカバーをなくしたかを追及できず。

 

それ以降、できるだけ本は人に貸さなくなったし、貸したらすぐ返してって言うようになった。

借りる方からすれば、「まだ読んでるんだよ、うるさいなー」という感じだっただろうけれど、こちらは神経症的に「返して、返して」と言い続けた。

お蔭で今はもう本を貸してっていう友人がいなくなった。

 

というか、友達自体一人もいない気がする。